総合誌『學藝』編集長の庄子學昌が、読んでみたい/行ってみたい2026年10月の本や展覧会を、個人の独断と偏見でピックアップします!
10月の気になる書籍5選
1.『思想:10月号』特集=〈魔術〉の世界【09/25】
思想 2026年10月号|岩波書店www.iwanami.co.jp
『思想』は岩波書店の月刊誌で、和辻哲郎らが中心となり大正時代に発刊された。1230号にあたる本誌の特集は魔術。ぼくが特に注目しているのは、映画『オデュッセイア』の監修も務めた藤村シシン氏の「歌はいつ魔術になるのか」だ。映画『オデュッセイア』も言葉と歌の問題を扱っている。藤村氏がこのような論考タイトルで何を語るのか、ぜひ読んでみたい。
2.飯野亮一『弁当の誕生』【10/08】
『弁当の誕生』飯野 亮一|筑摩書房筑摩書房『弁当の誕生』の書誌情報www.chikumashobo.co.jp
ぼくはよく、スーパーの弁当の世話になる。しかし弁当は、特別な日に食べるものでもある。そんなハレとケ、どちらにも寄り添う弁当の歴史を学べそうだ。ぼくはいま、食に強い関心がある。いまも珈琲特集を組んだ『學藝2』の編集中だ。食の歴史は、ぼくたちの考えるよりも奥深い。
3.『現代語訳:太平記』山崎正和訳【10/15】
現代語訳 太平記 上/山崎 正和|岩波現代文庫 - 岩波書店鎌倉時代末期から南北朝の動乱を描く歴史文学『太平記』。人間の運命と意志のドラマを劇作家による名訳で味わう。解説:兵藤裕己www.iwanami.co.jp
『太平記』は南北朝時代の内乱を描いた軍記物語だ。成立はその南北朝時代で、本書は批評家・劇作家の山崎正和が訳を手掛けている。山崎正和の仕事は幅広く、一言で説明するのは難しい。ぼくはとある著名な漱石研究者に促されて、彼の漱石の評論「淋しい人間」を読み、山崎正和の偉大さを知った。彼の仕事は追いかけていきたい。
4.ベネデット・クローチェ『歴史叙述の理論と歴史』倉科岳志訳【10/15】
『歴史叙述の理論と歴史』(ベネデット・クローチェ,倉科 岳志) 製品詳細 講談社「すべての真の歴史は現代史である」 この有名な警句は何を言わんとしたのか? その真意がよくわかる新訳の登場 美学、哲学、批www.kodansha.co.jp
ベネデット・クローチェはイタリアの歴史家だ。しかし彼は「歴史家」という枠に収まらない。むしろ、哲学者、思想家と呼んだほうがいいかもしれない。西洋史を学んだことのあるひとなら、必ず彼の名前を聞いたことがあるだろう。そんな彼の歴史叙述の理論書。表紙のチョイスもいい。これはフェルメールの《絵画芸術》で、歴史の女神であるクリオが描かれている。
5.安藤聡『英国庭園の文化史』
英国庭園の文化史 - 平凡社英国庭園の文化史詳細をご覧いただけます。www.heibonsha.co.jp
副題には「シェイクスピア、ウィリアム・モリスから『アリス』『ハリー・ポッター』まで」とある。ウィリアム・モリスは英国庭園の文化を語る上では避けては通れないだろう。近代、産業革命が進むなかで「手作り」にこだわった人物だ。しかし、おそらく本書の魅力は、ここで『アリス』『ハリーポッター』に接続してくることではないだろうか。
10月の気になる展示会3選
1.コーヒーロード展~切手でたどるコーヒーの物語~【10/01~12/27】
コーヒーロード展~切手でたどるコーヒーの物語~ / COFFEE ROAD: The Story of Coffee Told Through Stamps 【会期】2026年10月1日(木)~12月27日(日)|郵政博物館 |郵政博物館 Postal Museum Japanコーヒーロード展~切手でたどるコーヒーの物語~ / COFFEE ROAD: The Story of Coffee Twww.postalmuseum.jp
先月、三菱一号館美術館の「カフェに集う芸術家」に訪れた。理由は前にも書いたように、『學藝2』が珈琲特集だからだ。珈琲は飲料だ。だから残らない。しかしその周りにある絵画は残っていく。そんなことを思った。そんなとき、「切手」という生活に密着したモノからみるのはおもしろい。芸術的な珈琲だけではなく、切手のように生活に密着した珈琲もある。
2.テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話【10/24~02/21】
テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話 – 国立西洋美術館www.nmwa.go.jp
国立西洋美術館、秋冬の展示はターナーだ。ターナーは19世紀前半に活躍した画家で、よく産業革命への批判の文脈で語られる。今回の展示も、どうやら環境問題に接続していく流れのようだ。どのような展示構成になっているか、実際に行って確かめてみたい。
3.KOJIMA PRODUCTIONS 10th ANNIVERSARY EXHIBITION:BEYOND THE STRAND
【公式】コジマプロダクション10周年記念展 「BEYOND THE STRAND:創造と挑戦の航路」KOJIMA PRODUCTIONSが歩んできた10年間の創造と挑戦の軌跡を、初公開となる貴重な制作資料、作品世界を再現しbeyondthestrand.kojimaproductions.jp
小島秀夫氏は、日本のゲームクリエイターだ。ぼくは中学生のころ、『METAL GEAR SOLID』シリーズで冷戦を学んだ。高校生のころ、『DEATH STRANDING』で安部公房を知った。コジマプロダクションは様々な才能を集め、アクチュアルな仕事をする集団として、ぼくのあこがれだ。
YouTubeチャンネルの方でも実際にこれらのおすすめについて話しているのでそちらもぜひチェックを!!